蕁麻疹（じんましん）

• 概要
• 症状
• 原因
• 診断
• 治療

概要

膨疹（ぼうしん、紅斑を伴う一過性で限局性の皮膚の浮腫）が病的に出没するもので、通常痒みを伴います。また、蕁麻疹に合併して、あるいは単独に皮膚や粘膜に生じる限局性の浮腫は血管性浮腫と呼ばれます。

症状

全身のあらゆる部位の皮膚や粘膜に生じえます。個々の発疹の大きさ、形態、持続時間はさまざまですが、病型によっては特徴があるものもあります。通常は皮膚に限局しますが、時に発熱、気道閉塞感、嘔吐、腹痛、血圧低下などを伴うことがあります。
なお、血管性浮腫は顔面、特に眼瞼や口唇に好発します。

原因

皮膚の肥満細胞から産生されたヒスタミンなどの化学伝達物質が血管拡張、血漿成分の漏出、痒みを引き起こすために生じます。肥満細胞の活性化の機序として食物、薬剤、昆虫の毒素などによるアレルギーの機序が知られていますが、後述のように蕁麻疹の大半は原因がよくわかっておりません。
６週間以上持続する慢性蕁麻疹のほとんどは、原因がはっきりしない特発性の蕁麻疹です。一方、特定の刺激により誘発される蕁麻疹を刺激誘発型の蕁麻疹と呼びますが、この中にはアレルギー、こするなどの機械的刺激、寒冷、温熱、日光、発汗刺激、食後の運動などで生じるものが含まれます。

診断

膨疹が出没すれば蕁麻疹と考えられますので、診察時に膨疹が確認できれば診断できます。診察時に消退している場合には、病歴や出現時の写真などから判断することになります。前腕屈側の皮膚を強くこすった際に、同部に一致して膨疹が認められる場合は皮膚描記法陽性で、刺激誘発型蕁麻疹の１種である機械性蕁麻疹と診断されます。これは、特発性蕁麻疹に合併することも少なくありません。また、病歴を詳しく聴取し、刺激誘発型の蕁麻疹が疑われれば、負荷試験なども施行してその原因を確認することがあります。アレルギー性蕁麻疹の場合は、血液中の抗原特異的IgEの測定、プリック試験、皮内試験、内服・負荷試験などを行います。

治療

アレルギー性蕁麻疹では、原因となる食べ物や薬剤などを避ける必要があります。また、その他の刺激誘発型の蕁麻疹でも、発症を誘発する刺激に注意が必要です。しかし、特発性の蕁麻疹や刺激誘発型の各種蕁麻疹に共通しているのは、抗ヒスタミン薬を内服して症状が出ない状況を維持しながら、徐々に減量中止していくのが治療のゴールとなります。また、オマリズマブと呼ばれる抗IgE抗体が難治性の慢性蕁麻疹に有用です。